Rg3強化紅参OKBT(Rg3KRG)の血圧降下メカニズム
北里大学 客員教授 山口芳正
今回は、高麗人参に含まれている有効成分の1つであるジンセノサイドRg3の含有量を高めた高麗人参エキスであるRg3強化紅参OKBT(Rg3KRG)の高血圧に対する作用について紹介します。
高血圧は体内で慢性的なストレスを引き起こし、血管疾患の発症へとつながる主要な危険因子です。
また、血管内皮細胞の形態変化や機能不全とも関連しており、動脈硬化を引き起こす可能性があります。
これまでの研究で、高麗人参には、血圧の改善や免疫機能の向上などの効果があることが明らかになっています。
【Rg3強化紅参OKBT(Rg3KRG)の血圧に対する作用】
①一酸化窒素(NO)産生に対する作用:ヒト血管内皮細胞を用いて、血管機能を調節している因子の1つである一酸化窒素(NO)に及ぼすOKBT(Rg3KRG)の影響について調べました。NOは血管内皮細胞を拡張させて血管を弛緩させる働きを持つことが知られています。血管内皮細胞にOKBT(Rg3KRG)を添加することによって、NOを合成する酵素を活性化させ、NO産生を増加させました。
②炎症性因子に対する作用:炎症誘発因子を血管内皮細胞に作用させると、炎症因子である細胞間接着分子(ICAM)-1およびシクロオキシゲナーゼ(COX)-2の発現が増加し、炎症が誘発されます。これに対して、Rg3KRGを添加することによって、ICAM-1およびCOX-2の発現増加が著しく抑制され、炎症反応が抑制されました。
③ラット血圧に対する作用:最後に、通常の紅参エキス(KRG)またはOKBT(Rg3KRG)を、これらのラットに投与して血圧に対する効果を比べました。その結果、KRGを投与しても、いずれのラットの血圧に対しても血圧を下げる効果を示しませんでした。また、正常血圧ラットにOKBT(Rg3KRG)を投与しても血圧を下げる効果を示しませんでした。それに対して、高血圧ラットにOKBT(Rg3KRG)を投与すると、投与90分後から150分後までの収縮期血圧を低下させ、投与60分後から120分後までの拡張期血圧を低下させました。また、KRGおよびOKBT(Rg3KRG)はともに大動脈におけるNO合成酵素を活性化させ、NO産生を増加させる効果をもっていましたが、OKBT(Rg3KRG)の方がKRGよりも顕著に高い効果を示しました。
④ラット血管機能に対する作用:正常血圧ラットと自然発症高血圧ラットから摘出した血管を用いて血管の機能に対する効果を調べました。高血圧ラットの血管は正常血圧ラットと比較して、弛緩しにくい状態になっていますが、OKBT(Rg3KRG)で処理することによって、高血圧ラットの血管を弛緩させました。また、高血圧ラットでは正常血圧ラットと比較して大動脈中膜が厚くなっていますが、OKBT(Rg3KRG)を6週間投与すると、大動脈内膜が正常血圧ラットと同程度に薄くなり、さらに血清のNOレベルも上昇しました。
【まとめ】
これらの研究によって、Rg3KRGは血管機能を向上させ、免疫系の機能を改善する効果をもつことが示されました。
したがって、OKBT(Rg3KRG)は様々な心血管疾患の予防や改善する作用をもつ、非常に有用な食品であると考えられます。
紹介論文
Journal of Ginseng Research 2014, 38, 244-250
Rg3-enriched Korian Red Ginseng improves vascular function in spontaneously hypertensive rats
Jung-Bum Park et al.
Integrative Medicine Research 2016, 5, 223-229
Rg3-enriched Korean Red Ginseng enhances blood pressure stability in spontaneously hypertensive rats
Harsha Nagar et al.
