今回は、BTGin社製品の原料として使用されているBTEX-Kが関節リウマチに対しても効果を示す可能性があることについて紹介します。BTEX-Kは、従来の紅参エキスの製造工程で酵素を用いることにより、有効成分の1つであるコンパウンドKの含有量を高めた紅参エキスであり、これまで一般的に用いられてきた原料(高麗人参と紅参)とは大きく異なっています。
【変形性関節炎とは】
変形性関節炎は、組織の変性および血管線維化を特徴とする慢性炎症性疾患です。Hongら(2025)は、BTEX-Kを用いて、リポ多糖(LPS)で刺激して炎症を誘発した細胞に対して抗炎症作用を持つかどうかを調べました。LPSはエンドトキシン(内毒素)として知られており、グラム陰性菌の外膜を構成する成分で、強力な炎症誘発作用を有しています。免疫系を担っている白血球の一種で食細胞であるマクロファージをLPSで刺激すると、活性化して様々な炎症性因子を産生し放出します。
【酵素紅参BTEX-Kのさまざまな作用】
①炎症性因子への作用: リポ多糖(LPS)で処理したマウスのマクロファージ細胞では、炎症性因子の産生が有意に増加しました。一方、BTEX-Kを添加することによって、炎症性因子の産生を有意に減少させました。また、同時に行った細胞毒性試験によって、これらの減少効果は、毒性により生存細胞数が減少したことによるものではない、と示されています。
②炎症誘導物質(NOやPGE2)の産生への作用: さらに、炎症を誘導する働きを持つ一酸化窒素(NO)やプロスタグランジンE2(PGE2)の合成酵素について、それぞれのタンパク質発現量を調べました。その結果、BTEX-Kにより、これらのタンパク質発現レベルも低下していました。したがって、BTEX-Kは、NOやPGE2の産生を直接抑えていると考えられます。また、BTEX-Kは炎症に関わるシグナル伝達経路の活性化も抑制していたことから、シグナル伝達経路の阻害することによってNOやPGE2の産生を抑えていると考えられます。
③マウスによる試験: 最後に、関節リウマチを実験的に発症させたマウスを用いて、足底領域における骨密度や骨量を、関節リウマチ誘発直後(0週目)とその4週間後に測定しました。その結果、関節リウマチ発症させると骨密度や骨量が低下していましたが、BTEX-Kを投与することによって、骨密度および骨量が高くなっていました。これらの結果から、BTEX-Kはマクロファージの活性化を抑制する抗炎症作用を介して、関節炎緩和効果を発揮すると考えられます。
【まとめ】
今回の研究によって、BTEX-Kは、免疫細胞における主要な炎症性因子やシグナル伝達経路を阻害することにより、顕著な抗炎症効果を示すことが明らかになりました。これらの知見は、BTEX-Kが変形性関節炎でよくみられる痛み、腫れおよび発赤などの炎症関連症状を緩和するだけでなく、治療することもできるポテンシャルを有していることを示しています。
紹介論文:Biomedicines 2025, 13, 1524
BTEX-K Ameliorates Rheumatoid Arthritis Through Regulating the NF-κB and PPAR-γ Signaling Pathways in Incomplete Freund’s Adjuvant-Induced Arthritis Mice
BTEX-Kは、アジュバント誘発関節炎マウスにおいてNF-κBおよびPPAR-γシグナル伝達経路を調節することにより関節リウマチを改善する
Joonpyo Hong, Jin-Ho Lee, Ga Young Lee and Tack-Joong Kim
